帰り道は遠回りしたくなる
いよいよ発売した。
乃木坂46の22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』
そろそろ向き合い始めなければいけないのだ。西野七瀬さん(以下なぁちゃん)卒業に伴うラストシングル。「ラストシングルは明るい曲がいいねー!曲名を予想しよう!『ロマンスは終わらない』とかかなー!」なんて話してた僕らを見事に殺しにきた。運営側は徹底的に卒業に向き合わせてくれようとしているらしい。分かりました。
とてもストーリー性のあるPVで、なぁちゃんのアイドルになった未来とならなかった未来が表現されている。
こちらがPVです。
…はい。
アイドルにならなかったなぁちゃんは公園で遊んだり、カラオケに行ったりとごく普通な生活を送っている。対して、アイドルを目指しているなぁちゃんは公園で遊ぶ人たちをバスから眺めて羨ましそうな顔をうかべたり、ダンスの練習でうまく行かずに練習上から逃げ出してしまったりする描写がある。
それぞれが違った描かれ方をされているが、その中で気になった点は両方とも絵は描いているというところだ。絵が好きなのだろう。これはとてもいいなと思った。関わり方は違えど、どの道を選んでも好きなものを好きでいるという気持ちはなくならないし、自分だけが浸れるものとして続いている。なんか安心する。
「好き」というと、この曲は「好きだったこの場所」と歌い始める。ここから分かるのは乃木坂46は場所であるという事だ。僕が乃木坂46を好きになり、ちゃんと知って以来、この感覚がすごいなと思った。近年の秋元康氏がプロデュースしているアイドルグループではメンバーの「脱退」を「卒業」という表現を使う。「卒業」という言葉で連想されるのは学校だろう。僕は乃木坂46を自分を成長させる、変化させるための場のように感じている。自分に目的があって、その手段としてのアイドル。加入した瞬間にいつかアイドルとして終わることが決まっている未完成な少女たちの成長物語。完全にアイドルをアップデートさせていると思う。
アーティストと曲の関係性を軸に考えてもまた面白い。以前まではアイドルグループという団体が個人のファンに対して一方的に与えていた。しかし、時代の変化からかその構図が大きく変化しているように感じる。今は個人の時代と言えるだろう。つまりアイドル自身が、アイドルグループという団体の一員から、アイドルグループ名を冠する個人になったのである。その変化の中での曲そのものの位置付けはアイドルからファンに対してということに加えて、プロデューサーからアイドルに対してのものとも感じる。
これに象徴されるのは『帰り道は遠回りしたくなる』のカップリング曲『キャラバンは眠らない』である。
PV→https://youtu.be/uxU2I6ZPXOM
若手メンバーで構成されたPV。印象的なのは歌詞に出てくる「前の世代を超えろ!」。なあちゃんのラストシングルのカップリングでこの曲を入れるというエッジの効いた一手。なぁちゃんの卒業によって少なからずあるであろう、メンバー内の動揺に対してこの強気な曲、正直めちゃくちゃ興奮した。これはプロデュースする側からアイドルへの曲だと思う。ある種の校訓のような…
まだまだ色々書けそうだが、もう少し知ってからにしよう。今日はここまで。
とにもかくにもなあちゃんは卒業する。こんなにアイドルにのめり込むなんて、誰も想像してなかった。本当にいい経験させてもらったと思う。ありがとうなぁちゃん。ラストライブのチケットお願いします神様。おやすみ日本。