reichasm’s blog

なで肩からずり落ちるトート

思い出

おばあちゃんに会いにいった。

ここ数年で認知症がある程度進行しているらしい。ある時から、会うたびに「○○(父の名前)の息子‼︎」と呼ばれていた。

まあ、名前は忘れてるのかもしれんけど、認識してるならいいか、と思っていた。(他の人や事はだいぶ忘れているので)

 

そして今回は2年半ぶりに会った。会う瞬間は毎回少し緊張する。おばあちゃんの家に到着し、家のドアを開けるなり、「☆☆(俺の名前)が来たぞ!」とおじさんが言う。おばあちゃんは「おぉー!」という喜んだような声だけをあげていた。…まあ仕方ないよなと思った。

名古屋への帰り道、おばあちゃんと会ったその時の光景を思い出していた。「とうとう来たんだなあ…」と考えていた。ただ、その前のとても聞き覚えがある音が思い出された。「☆☆(俺の名前)ガキタゾ!」というおじさんのセリフ。俺はこれをよく知っている。駅や空港に迎えに来てもらい、家に到着するなりおじさんが必ず言っていたお決まりのセリフだからだ。今思えば物心ついて以来、なんなら物心つく前からずっと言っていたと想像できる。

「ああ、俺に反応していたわけではなく、おじさんの決まり文句に記号的に反応して喜んでいたのかもなあ」と思いはじめた。ただ、これは悲しいことではないはずだ。生まれてから28年分の積み重ねがあってのことだ。おばあちゃんの中で俺みたいに聞き覚えのあるセリフとして反応したからかもしれない。身体に染み付いたセリフに繋ぎ合わされた感覚になった。行って良かったなと改めて思った。